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鼻相談室」第1回目は管理人「鼻」からの相談です。
以前、鼻ブログで「高周波凝固術ってなんだ?」という記事を書いたのですが、いま一つその正体がつかめません。
高周波凝固術と一口に言っても、ラジオ波凝固、アルゴンプラズマ凝固、プラズマ凝固、ソムノプラスティ、エンテックなどなど、いろいろな名前で呼ばれていて、混乱してしまいました。
それぞれの特徴や違いなどを教えてください。
手術結果に何か違いがあるのですか?
あと、レーザー手術と高周波凝固術の両方を受けてみて、レーザー手術よりも高周波凝固術の方が効果的だったように感じます。
レーザー手術がもてはやされている一方、高周波凝固術の知名度がイマイチなのはなぜなのですか?
<アレルギー性鼻炎に対する高周波凝固術とは>
アレルギー性鼻炎に対する手術としてはレーザー治療が有名ですが、最近は高周波による治療が学会でも注目されています。
アレルギー性鼻炎に対する高周波凝固術とは、高周波電流を用いて細胞に熱を加え組織を凝固変性させることによって下鼻甲介粘膜(アレルギー反応の起こる場所)をアレルギー反応の起こりにくい粘膜に変える治療法です。
高周波というのは、高周波電流のことです。高周波電流を用いる手術のことをラジオ波手術とも呼びます。300kHz以上の高周波数を持つ電流を細胞に加えると熱効果が生じます。この熱により組織が凝固変性します。ただしコブレーターは100kHzの比較的低い周波数を用いています。そのため低い温度で細胞を変性させることが出来ます。
現在よく行われている、アレルギー性鼻炎の高周波手術は、大きく分けて次の2つに分かれます。
-
下鼻甲介粘膜表面に対するもの(下鼻甲介粘膜表面を変性させることにより、下鼻甲介粘膜を縮小させると同時に粘膜自体をアレルギー反応の起こりにくい粘膜に変性させます。原理的にはレーザー治療とほぼ同じです。)この手術には、現在アルゴンプラズマ凝固装置を用いるのが主流です。
- 下鼻甲介粘膜下組織に対するもの(下鼻甲介粘膜下組織を凝固変性、縮小させます。)この手術には、現在、コブレーター(エンテックと同じです、呼び方が違うだけです。)やソムノプラスティを用います。
(補)アルゴンプラズマ凝固装置を用いるものは、アルゴンプラズマ療法、プラズマ療法、アルゴンプラズマ凝固手術、プラズマ凝固、プラズマビーム療法など呼称が統一されていませんが同じものです。ちなみにアルゴンレーザーは全然別の治療法です。医師の間でも区別できていない医師もいますので治療を受けるときは詳しい医師に説明を聞きましょう。
レーザー、超音波凝固装置も含めた下鼻甲介手術の特徴を表にまとめてみましたので参考にしてください。
論文発表されたデーターに加え私自身の経験による評価も加わっています。必ずしも完全な客観的データーではありません。
| |
アルゴンプラズマ |
コブレーター |
レーザー(Co2) |
ハーモニック |
| 手術時間 |
短い *1 |
短い *1 |
やや長い *2 |
短い *1 |
| 手術時の痛み |
±〜+ *3 |
±〜+ |
± |
± |
| 鼻づまりに対する効果 |
2+ |
2+〜3+ |
+ |
±〜+ |
| 安全性 |
極めて安全 |
極めて安全 |
誤照射の危険あり |
極めて安全 |
| 効果持続期間 |
6ヶ月〜2年 *4 |
不明 *5 |
6ヶ月〜2年 *4 |
不明 *6 |
| 麻酔方法 |
表面麻酔 *7 |
局所浸潤麻酔 *8 |
表面麻酔 *7 |
表面麻酔 *7 |
| 術後出血 |
ほとんどない |
少しあり |
ほとんどない |
ほとんどない |
*1 5分以内で終わります。実際には術者や鼻腔形態による難易度により時間がかかることがあります。
*2 5〜15分くらいで終わります。実際には術者や鼻腔形態による難易度により時間がかかることがあります。
*3 アルゴンプラズマの場合は、歯にひびくような不快感を生じることがあります。小学1年生でも我慢できる程度の不快感や痛みです。あまり心配いりません。
*4 効果持続期間については個人差が大きいです。論文上は上記期間ですが実際は3ヶ月で効果が落ちる場合もありますし、3年以上たっても効果が持続している場合もあります。個人的な印象としてはレーザーに比べアルゴンプラズマのほうが効果的な印象を受けます。
*5 不明ですがおそらく6ヶ月〜2年以上と考えられます。
*6 不明ですがおそらく6ヶ月〜2年以下と考えられます。
*7 麻酔液をしみこませたガーゼや綿を鼻の中に入れるだけの麻酔です。充分な効果を得るためには30〜40分の待ち時間が必要です。注射はしません。
*8 注射による麻酔です。効果は数分で現れます。
<レーザー治療と高周波治療>
レーザーより高周波治療の方が効果的です。にもかかわらずレーザーがもてはやされているのは、下記の理由によると思われます。
-
アレルギー性鼻炎に対するレーザー療法が普及する時期が早かった。10年以上になります。高周波電流による治療は以前からありましたが、高周波電流を正確にコントロールする技術やそれを応用した医療機器が開発されてきたのはここ5年くらいでしょう。そのためアレルギー性鼻炎に対する高周波治療が広く応用されるようになってきたのはここ数年です。実際日本鼻科学会においてもここ2〜3年、高周波を用いた手術(特にアルゴンプラズマ療法)の効果を実証する発表が多くなってきています。
-
レーザーという言葉のイメージ。レーザーというとその本質とは別に魔法の光、というイメージを持ってしまう方が多いのではないでしょうか。私もレーザーを使う前は、切れ味がよくて出血のない魔法の道具のようなイメージを受けていました。実際は優れた能力は持っていますが魔法の道具ではありませんでした。
- 一部の心無い医師による「レーザー治療を受ければ花粉症が治る」というような書籍による過大な期待をさせる告知方法。
以上の理由により、早くからマスコミにもてはやされたレーザーが知名度が高く、高周波治療の知名度が低い理由ではないでしょうか。
最後に
高周波治療(レーザー治療も)は対症療法(症状を和らげる治療)です。アレルギー性鼻炎を根本的に治す治療ではないので誤解しないでください。
また、同じ医療機器を用いても術者によって効果はかなり差が出ます。場合によっては使う医療機器の差より医師の技術による差が大きい場合もあります。
「鼻相談室」では相談を受け付けています。
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